劇 場   ?/塔野夏子
 
でしか
維持されないのではないかと
目ざめさせればそれは崩れ去るのではないかと

いずれにせよ
意志の硬質な眠りのまわりで
芝居はつづいてゆく
意志の眠る寝台は
時に揺籃のようにも
柩のようにも見える

時に眠る意志の表面の暈色を
しばらくじっと見つめている役者がいる
彼もしくは彼女は主役ではない
そしてやがて
黙って立ち去る


暈色:鉱物の表面や内部に見える虹のような色のこと




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