劇 場   ?/塔野夏子
 
舞台の上に寝台
そこにひとつの意志が 表面に暈色をまとい
硬質な眠りを眠っている

舞台にはさまざまな役者が登場しまた去り
時に祭りのにぎやかさに溢れかえる
けれど意志は眠りつづけている
舞台はまたいくたびも暗転する
でもそのときも
意志の眠る寝台だけは
浮かぶように照らし出されている

舞台に登場するすべての役者が
そしてすべての観客が
感じているのだ
おそらく多くは無意識に
そこに眠る意志が意志として持続することが
とても大切なことなのだと

だが誰もその意志を
目ざめさせる方法を知らない
あるいは誰もみな疑っているのだ
その意志は眠っていることでし
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