ディファレンス・リファレンス/ブルース瀬戸内
 
断じて違う。
私は大マゼラン銀河ではない。
それは何かの誤解というものだ。
それは私どころか
世界を曲解している何よりの証拠だ。

断じて違う。断じて違うのだ。
私は一級品のミョウガではない。
それは筋違いの認識というものだ。
あるいはそれは
悪意に満ち満ちた呼び方と解釈していいのか。

違う。断じて違う。
私は炭素繊維ではない。
はっきりここで違うと断言しておこう。
私がそれと見紛う所作をお見せしていたのなら、
そうした言い方にも一理あるかもしれない。
しかし主観的にも客観的にも一切そんなことはない。
無理は通らない。

違う、違う、それは違う。
私はカモイワッカ岬ではない。
明らかに違う。その疑いの眼差しは意味がない。
つまり“あいつはカモイワッカ岬らしい”
という会話は意味をなさない。
会話の体をなさない。
重ねて言うが、断じて違う。

ならば何かといって
私とて模索中なのだ。
だがこれだけは分かる。
今挙げたものでは断じてない。
残念ながら
この眼はふしあなではない。

では、また分かった時にでも。
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