暗世夢/結城 森士
 





?…

眼帯を外した「僕は」タクシーを拾い、薄暗い郊外の道を走らせる。幾つものぼんやりした街燈に  蛾  が群がっている。
そして「僕は」幼い頃に訪ねた叔母の家に向かう。
肌寒いススキの野原が広がり、………緩やかな丘………が遠くに見える。(街燈)の代わりに、蒼白い月と古いベンチが置いてあり、
暫くすると浴衣を着た少年が女の人に手を引かれ野原の向こうの小さな光に向かって歩いていった。
(その古い一軒家は、ぼやけた電灯と、囲炉裏があって、誰もいない部屋には叔母が笑っている)(誰もいない部屋には、叔母が笑っている、一人で)(誰もいない部屋には、叔母が笑っている、一人で、意味も無く、)
右肩を叩かれて振り返ると、真っ白の闇に落ちていった。


………………………(もういいので、そろそろ目を覚ましてください)
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