蹴飛ばして行きやがった/サナギ
 
とうとう俺の墓標が立ち
女たちは涙なんてダサイものを落としに来る

いい思い出にして
忘れたことにして

ダサイまま生きる

臨月の腹をなでながら
男かしら女かしらなんて

今から生と死を生み出すというのに

どっちか片方しか知らないんだろう
新しいから分からないんだろう

おいおい顔をひきつらせるな

どうせお前もいずれは死人だ
だから
生を喜ぶな
死を疎うな

俺は俺の墓標を愛する
俺の母親が俺の頬を愛したように

とうとう俺の墓標が立ち
男たちは見向きもしないそれどころか

ダセエもんが立ってやがると
蹴飛ばして行きやがった


戻る   Point(3)