蹴飛ばして行きやがった/サナギ
とうとう俺の墓標が立ち
女たちは涙なんてダサイものを落としに来る
いい思い出にして
忘れたことにして
ダサイまま生きる
臨月の腹をなでながら
男かしら女かしらなんて
今から生と死を生み出すというのに
どっちか片方しか知らないんだろう
新しいから分からないんだろう
おいおい顔をひきつらせるな
どうせお前もいずれは死人だ
だから
生を喜ぶな
死を疎うな
俺は俺の墓標を愛する
俺の母親が俺の頬を愛したように
とうとう俺の墓標が立ち
男たちは見向きもしないそれどころか
ダセエもんが立ってやがると
蹴飛ばして行きやがった
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