青いひとつの/ねなぎ
取り戻すように
埃臭い空気を吸い込み
意識を押さえつける
動悸は元には戻らず
ぼやけた視界が赤いように
定まらずに
耳元で鳴っている
ぼんやりとした影が
見下ろしていた
僕はゆっくりと頭を振ると
堪えたまま何とか
僕を蹴飛ばした同僚に
ありがとうと
切れ切れに呟いた
突然
に横腹に衝撃が加わり
痛みと圧力に
その場から
吹っ飛ばされて
足が縺れて
そのまま壁に頭から
ぶち当たる
酷い音が
ばらばらと自分の上に
降りかかる気がするが
擦ったような熱さと
息が苦しくて声が出ない
のた打ち回るように
コンクリートの冷たさを
頬につけて
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