ノート(木蓮)/
木立 悟
何もない手に
白が降りて
名前を呼んだ
もくれんよ
もくれんよ
微笑む間もなく
雨は来て
空を伝い
午後を撒いた
灰の鱗
一人歩きの傘
午後の陽の行方を 耳で追い
かすかな声にたどりついた
得られぬことを知りながら
空へ 空へ のばされる手に
ひとつ またひとつ
ちから無きちからのかたちに満ちてゆく
もくれんよ
もくれんよ
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