枯れ立ちぬ/ねなぎ
咳をする母の
苦しそうな声を
置いて
こんなにも
遠くへと
来てしまったけれど
行けども行けども
道はなく
ここが何処だか
解らないのだ
何処の空も
青いなんてことを
確かめるために
世界を旅する
必要がないなんて
そう言われて
旅立ってしまった
気がする
この身
青くなれど
鬱屈として
辺りは
ススキや
ハコベラが茂って
麻やら
オナモミなどで
痒くなれど
ざわめき立つように
感じている
土の匂いが
きつすぎて
今がいつかも
知りはしない
寂寥の念に
応答を
問われ
何故かここにと
問うてみて
何
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