チャーリーブラウン/恋月 ぴの
チャーリーブラウンは後退なんかしない
あの頃に踏みとどまっているだけ
英語の勉強になるならと
無理して読んでみたけれど
やっぱし後退なんてしてくれなかった
それがリアルってやつ
細い線で描かれたチャーリーの
いつも不機嫌そうな顔と
スヌーピーは物憂げに頭を傾げ
遠くにあるものと
近くにあるもの
スピーチバルーンに封じ込めてしまったのか
言いたかったこと
言わずにはいられなかったこと
チャーリーが投げつけたボールを
捕らえそこなった僕らの時代
君ならどうする?
そんな問いかけには
黙って小石のひとつも蹴ってみる
無意味なんてことはない
せめて
スピーチバルーンのひとつひとつの重さでも
確めながら
自ら封じ込めてしまったものの大切さに
今年の松井秀樹ってどうよ
だなんて問いかけたなら
後退しようにも後退できない崖際で
拾った仔犬の頭を撫でる
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