浮遊する夢の形状    デッサン/前田ふむふむ
 
て、
わたしに重奏な暗闇を、配りつづけている。
時折、激しく叩きかえす驟雨を着飾れば、
(空は季節の繊毛が荒れ狂い、
        ――あれは、熱狂だったのか。
白い雪が氾濫して、皮相の大地を埋めれば、
(モノクロームの涙に、染める匂いを欲して、
        ――あれは、渇望だったのか。
わずかな灯火をたよりに、手を差しだせば、
繰り返される忘却の岸に、傷ついた旗が見える。

思わず瞑目すれば、
ふたたび、貼り出される白々しい単調な音階に、
身をまかせている、わたしの青白い腕。
すこし重さが増したようだ。

長方形の額縁のような窓が、果てしなく遠のいてゆく、
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