詩に沈むアルトのリズム/知風
 
開け放した窓から聞こえるのは
使い古されたアルトのリズム

磨き上げられた声帯から
心地よく響く祈りの歌

けれどそれは横丁の路地裏で
物乞いをするねずみの音

風のソプラノが濁らされる時
彼女はそっと詩に沈む


ダマワラビーの腹袋に
太古の横笛が木霊して

リズムは太鼓叩きの手に余り
やがては強訴のいぼいのしし

雨がやんだら日が照るのだと
あまがえるに説くがごとき私

風のソプラノが詩に沈む
アルトのリズムが交錯する
戻る   Point(5)