詩に沈むアルトのリズム/
知風
開け放した窓から聞こえるのは
使い古されたアルトのリズム
磨き上げられた声帯から
心地よく響く祈りの歌
けれどそれは横丁の路地裏で
物乞いをするねずみの音
風のソプラノが濁らされる時
彼女はそっと詩に沈む
ダマワラビーの腹袋に
太古の横笛が木霊して
リズムは太鼓叩きの手に余り
やがては強訴のいぼいのしし
雨がやんだら日が照るのだと
あまがえるに説くがごとき私
風のソプラノが詩に沈む
アルトのリズムが交錯する
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