唯一、の/
K
裏通りの月は
ゆらゆらと揺れて
消える事を恐れない
表通りの月は
隠れればライトを浴びせられるから考える事を辞めた
繁華街の円卓に出された七面鳥に名前をつけていた彼女は 食べる前にお辞儀を
腹が減った中年は
苦手な目を取り除く
月は幾万と一個浮かんで
共鳴している
裏通りはいつしか
表通りに変わって
迷子になった時だけ
裏通りに行けるようになった
ペアを持たない月は
私達には届かない月
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