割れたガラスの残響音/結城 森士
 
皹入る空に吐息
(ステンドグラスに手をかざす)
冷血の雲になって
夜空を漂った
(粉々の破片)
雲の白鳥は、闇の境界線の上
(黒色のガラス/夜空)
湖とは、沈められた記憶のことだった

煌く
ゆっくりと

冬の白鳥は飛び立つ
(裏側のデネブは堕ちていく)
蒼白い涙を流す王者
(とても楽しそう)

霧中/追憶の白流星、その女
遠い土地から流れてきて一瞬で消えていった

凍てる、様々な角度から
反射する漆黒の水面
暖かい鼓動、白鳥
黒色のガラス、瞳
吐息を白く漂わせて
夜空はまるで湖のよう
その男は筏に乗って
点々と光る星の間を潜り抜け

裏側
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