Winter/瑠音
冬
人は無口で
私もその一人でした
白く吐かれた息を寂しがり
いつか隣り合った部屋の人間を思い出す作業はゆっくりと
指先から染み入って出てゆき
そして世界へとかわるのでした
ねえ?
急ぐのならお行きよ
私は走れない
ただ君への言葉を隠し
少し後ろを
ついてゆく
背中にふっと息を吐き
見送った人が何人もいて
私はきっとそれらのすべて
冬のせいだと
ごまかして
知っていました
見えるところにはいるよと言った
そんな言葉は
口だけだから
いつか春になり暖かくなれば
君の足の氷もとけて
そしてさよなら
あたしがそう
するように
君があたしを
後悔するならそれで満足
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