亡命者の季節/快晴
 
また新しい命が芽吹く頃
灰塵(はいじん)と化した私の心が
ひらりと空で宙返り
螺旋を描き散っていく

重力に逆らうことも出来ず
天に召されることもなく
こうして誰にも忘れられ
無垢な罪人達が踏みにじる

路上に咲いた花びらの瞳は
高く聳える桜の樹を見上げながら
一年後の春を遠く夢見て
こうして今年も枯れていく

そして名前すら持たない私は
季節という名の国境線を越え
もう何度目かの亡命者となる

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