詩と詩論(その一)/生田 稔
一万行何がしの全文を暗誦していたというし。日本よりも欧米のほうが詩人は大切にされるということもきいたことがある。日本では詩人は食えない、中原中也や大手拓次また小熊秀雄、知っているかぎり、あまり懐の豊かだった詩人は少ない。
英文科を中退した私は、個人的に翻訳を勉強して食っていこうなどと考えていたが、そうするうちにクリスチャンとなり、のめり込み三十のとき全時間の伝道奉仕者となった。それ以来永い間文学とはお別れになってしまった。病を得て入院したとき、自分には基礎学力がかけていることを痛感し、大学通信教育を受けた。2年間教養学部の学問に入門を果たした。4年その病院にいた。手当たり次第に本を読んだ。病院
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