無題/多久蘭乱
 
わがままを一つ 
手のひらにのせて水の中 
ゆらゆらとしずむ白い服 
昔々恐竜がまだ元気だった頃 
昔々地球がまだ温かかった頃 
涙を一つ 
手のひらにのせて水の中 
ふわふわと浮かぶ銀の玉 
昔々鳥がまだ飛べなかった頃 
昔々象がまだ小さかった頃 
ゆっくりまわる地球の地面に 
熱いタールがゆっくりと 
やさしくうねる海岸に 
熱いタールがゆっくりと 
やさしくてでも悲しい大きな目 
遠くから見てる 
やさしくてでも縦に長い大きな手 
少しづつはなれてく
多久蘭乱/「無題」より全文
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