怪獣だけど/九谷夏紀
 
とは噴きたくない
噴いた後はね
口の中が痛くて
なにも話せなくなってしまって
立ち去る人に言い訳も言えない
水だってほんとは流したくない
身体が溶けてね
水たまりになって
しばらくは元に戻れなくなるから
みんなわたしのことを忘れてしまうの
だからわたしの頭をずっと撫でていてほしいのに
簡単なことが難しくて
誰ともかみあわない
ゆらゆらしはじめる
わたしの視線
毎朝出会う
あなたと絡んで
あなたは
いつか
わたしの頭を撫でてくれる人ですか?

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