踊るとすれば輪舞、できれば砂漠の真ん中で/たりぽん(大理 奔)
 
それは生まれたことも忘れて死んでいく
いのちをつなげていく大切な冒険を捨てたかなしい輪舞のかたち。

  美しいものばかりでも
  汚いものばかりでもない世界を
  数学のように俯瞰し
  科学のように妄想し
  恋愛のように苦しみ
  言葉で曖昧にせよ

不完全ゆえのあやうさを、消えそうだからこそたいせつな炎を、冒
険せよ。かなしみをかなしみとして背負い、あやふやな言葉を不器
用に紡ぎ、境界という境界をかき消して。

  わたしが私にすぎないように
  あなたは貴女にすぎない
  すれちがった時間を懐かしむのは
  とても残酷な刃物のようで
  砂漠に落とした
  ひとしずくを
  ただの染みであったと

  私だけは思うな!



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