雲/九谷夏紀
空が
ごうごうと鳴いていて鳴りやまない
空には隙間のない
厚い雲が低くどこまでも続いていて
あの山の頂上まで隠してる
霧かな
靄さえ雲の手助けをして
私と雲との距離をさらに遠ざけ
同時にその景色の良さで魅了する
どうしてそんなに
雲で隠すの
不自然なまでにいつまでも
ごうごうと鳴いているものは何
知りたいことが
いつも見えない
いま目に映る
この雲が私の日常に陰をつくる
これがいつからほんとうになる
雲を取り除きたくて
少しでも雲の向こうを垣間見たくて
雲が途切れる瞬間を
空を見上げて
じっと待つ
できることは何もないから
さっきからずっと風が強くて
雲はぐんぐん西から東へながれてる
けれども雲は
ほんのすこしの明るい光も滲ませないまま
悠々とひろい空にたゆたう
いつまでもこの空は雲に覆われ続けるのかもしれない
太陽や
夜の星や月さえも
私には見せないまま
いつまでも
変わらないのかもしれない
それでも
あの山の頂上に登れば
きっと
あおぞらが広がってる
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