もしも心が破れたら/ぽえむ君
 
今は
モノが壊れ修理に出せば
直されるのではなく
取り替えられる
しかも悪い部分だけが
取り替えられるのではなく
まとまり全体ごと
抜き取られてしまう
使える部分の方が多いというのに

昔は
障子が破けてしまったら
取り替えることをせず
その部分に切り紙を張って
気がつけば
破ける前よりも美が生まれ
修理というよりも
発展という言葉が似合うのかもしれない

今は
心が破れ修復しようと思うと
直そうとするよりも
安易に新しい自分を創り出そうとする
今までの過去を捨て
人生全体ごと
抜き取ってしまおうとする
捨ててはならない過去の方が多いというのに

もしも心が破れたら
取り替えることをせず
その部分に言葉を張って
気がつけば
破れる前よりも生が生まれ
修復というよりも
進歩という言葉が似あうのかもしれない
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