丸の内ジャングル(改)/九谷夏紀
いものばかりが手に入る
穢れたものなどなにもない
(穢れのないもの?)
(不安のないもの?)
私は歩みを止めた
(整っていて歪みのないもの?)
(そういえば正しい道って誰が決めた?)
さっきまでの笑みが消えた
周囲を眺める
輝く笑顔が振り撒かれ
洗練された
人々の自信に満ちた力強い歩行はこの街を味方としていた
磨き上げられた
壁面の強化ガラスが街に奥行きを持たせていた
いくつもの
斬新なオブジェが街の魅力を引き立たせていた
ブルームバーグが速報する一秒刻みの世界経済が
この街をただの浮ついた街にはせずに引き締まったものとしていた
光をさらにおおき
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