冬鳴 ?/木立 悟
眠ることのできない緑の音が
雪の上にかがやいている
わずかな甘味を
鳥はついばみ
金のうたを聴きながら
粉の明るさを上下する
雨がふたつ
手をひらき
流れるものを抑えている
つらなるとどろき
すぎる生きもの
たなびく息が
流れを光にほどいてゆく
闇に立つ蝋
空をはじき
高く高く
にじみたたずむ
足もとの灯が
とどかぬ指さき
夜の終わりの
曇に染まる
蒼のはざま
ひと切れの陽
鳥はあたため
他の鳥と喰む
響きすぎる声に応えて
花は手のひらにしるしを残す
かたい雪に降る
やわらかな雪
笛がひとり
ひとり鳴る
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