小さな恋の物語/T’s
 
 未だ粕かに灯っているのを二人は知る

 絡ませた小指から延びた赤い糸は
 神様の悪戯で複雑に絡んでしまった
 ただそれだけの事でしか無かった

 時と共にうまれたぎごち無さを
 語られる思い出と零れる笑みが消す
 街を駆け抜けてきた風の数だけ
 知らない所が増えている事を知った
 まるで宝探しをする子供の様だった

 二人の思いは小さく欠伸をしながら目覚めた
 そして もう一度
 閉じた羽を広げて幾度か羽叩きをしてみせると
 蒼い空へ飛び立った
 

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