あふれるうみ/実夜
内に、なにかもったりとした
存在がいる。
それを意識していると
胸のあたりがうずうずとして
しょうがない。
うずうずが、とれないから
悲しくなってきてしまって、
どうしようもない。
原因はわかっているけど、
無視したい。
もったりとした存在は
日に日に容量を増して、
ますますうずうずは
強くなっていく。
いつか薄い皮は耐え切れなくなって
乳白色をしたそれは
溢れてしまう!
治らない傷になったら
どうしよう。
跡が残ったら、
それは私の愛しい傷になるの
かしら。
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