焼餅と誕生日。/もののあはれ
 
から発し。
自分を誤魔化すように更に焼餅を口に押し込んだ。
それはあまりに熱くて苦しくて可笑しかったので。
ついでに僕は妙に眠くなる薬の入った瓶を
力いっぱいゴミ箱の中に叩き込み。
コップに入れてあった水道水でゴクゴクと。
焼餅と鼻水とそれから僕の心の闇を
一気にゴクリと腹の中に流し込んだ。
それらはあまりに気持ちよく流れていったので。
よくは覚えてなんかいない筈なのに。
なんだかこの世に生を受けた瞬間と。
なんとも同じみたいな気持ちになった。
紛れも無く今日は僕の誕生日だった。

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