身体から飛び立つ鳥/及川三貴
浮かび血 筋の
動静見つめた
きっと 水平の遥か
訊かれた セイレン
笑いながら 潜る
気付かれた 痙攣
目に宿る痛みに
幾日後かの陸地
埋められてゆく
砂地の中に 明日 遠く
朝が けなした テイク
鉛筆で完璧な曲線の跡を
なぞるだけ
それでも いい
手に掴む形を 苛立ち
隠し切れず 夕立
こんなにも瞳を隠した
瞼の形が鮮明なので
息を潜めて 叶わないと
知りながら薬指の
先でなぞった 飛び立つ
鳥が 砕けているわ
醒めない迷路の中で
咳が ふざけているから
髪が 再度
精度 影が
生きているような
気がしただけ
留まる脚 跡
見つめた口 跡
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