恋愛バロメーター/朽木 裕
屈葬の密度で眠りにつく夜も
優しい体温の横で大あくびしながら起きる朝も
情緒不安定になりながらも仕事している昼も
君を染め上げるひとつの要因としての私
恐らくは
いつも化粧っ気なくてごめんねと
謝れば君はそんなことないと
首を振り
それだけ素でいてくれるんでしょう?
それにそのままでも充分だから
なんて聞いているこっちが照れるような台詞を云う
でもマスカラやアイシャドー
ルージュにグロス
どんなに細かなことでもすぐに気が付いて
ほめてくれる 喜んでくれる君は
矢張り、いつも化粧をしない私にがっかりはしないの?
するわけないじゃない
隣で君は半ば呆れ顔
例えば眼鏡をかけた顔を嫌がっているけれどさ
眼鏡をかけている・かけていないじゃなくて
貴方のことが好きなんだから
化粧とか付属品とか関係ないよ
在り方が好きなの
存在が愛しいの
駄々をこねるように言い包められて
思わずうんと頷いた
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