マテリアル・グランドツアー/カンチェルスキス
とするゴ都合主義
おれが歩くのは
どうってことない団地と団地の間だ
部屋の明かりはついてたり消えてたり
赤ン坊の声は聞こえてくる
老人はおむつをしてさっさと眠っちまう
おむつは燃えるゴミの日に出す
ベランダにやたらと洗濯物が干してある
団地のまわりは
違法駐車ばかりで
ダークスーツの何気ないおっさんが
車を持ち上げて100円玉が落ちてないか
確かめてまわってる
細い路地裏を
おれは歩いていく
いつ殺人が起きてもおかしくない通りというわけじゃないが
毎週花の金曜日にはストレスのたまりきった
まだ若
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