水色の気配/まどろむ海月
 
かる野に出るの

  過ちと罪を数えるのをやめ
  硬くなった指を空にのばし
  水色の瞳に歩みいるの

  柔らかな春の胸に抱かれ
  強すぎる香りに酔いながら
  花の葉脈をたどる旅に
  癒やされても
  いいはずよ




 きみは だれなの ?





             




   ? 水色の気配


誰の命も削らせないようにと
命を削り
心安らかにと伝えるために
心を砕く



今日も寒いね
それでも確かに
水色の気配がするよ

気孔からも 風紋からも
滴りからも 水脈からも
耐えるものからも 眠るものからも
佇むものからも 嘆くものからも
怒りからも 焼けつくものからも
痛みからも 悲しみからも




ああ
それらすべてに
春がやってくる

春はやってくるのだね





       








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