複数の愛人たちとのボウリングのやりとり/カンチェルスキス
 
イルカに乗った青年いたちごっこをするの巻したいね
 いたちごっこは今でもあってるけど
 まあ、それにイルカじゃないんだけどさ
 本マグロ
 止まると死ぬ生き物らしいけど
 止まらなきゃおれは死んじゃうんだよなー

 



 さんさんと光差し込むベランダに出て
 今日も光化学スモッグによって
 生命の確認をする
 赤と白の工場の煙突の数は雨後のタケノコみたいに増えてないし
 だったらいいんじゃないのと
 おれは足元に転がった黒の16号ボウリング球に 
 指を入れて
 複数の愛人を思い浮かべるのだ
 向こうもそうしてくれてると感じることができるから
 わたしは男前にスローする真似をする
 ピタッと止まったわたしの足ども二本
 肘のあたりにわたしに対する彼女たちの愛情の強度を感じるのだ

 



 汚染の川が今日もええ感じの色になってら
 言うならば千利休Tシャツを着ながら
 タライでがぶ飲み緑茶したいという感じだ
 あー こんなとき屁が出たら
 人生の武器になるのになあ







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