春/海月
春を誘う様な陽射しを集め
自然の暖かさを肌で感じる
それは君の温もりに似ていた
珈琲の苦さが口の中一杯に広がり
小さな角砂糖を一つ落とす
真っ白なそれは黒に染まり
形がなくなった
希望の端の方は絶望に繋がり
ふらふたと彷徨うだけ
片足さえも乗らない場所で
バランスを保ちながら
日々を良い方向へと傾ける
寒空の下で春を待つ
希望の種や夢を膨らます
期待が大きい程に悲しい末路が待っている
その芽は摘むがれた
終焉を知る事が出来れば
君を大切に思えるはず
当たり前の関係の結末は突然やってくる
音もなく風もない
そんな日でも雲が流れる様に
僕らは徐々に引き離されていく
ただ、繋ぎ止めるしかなかった
儚く脆い蜘蛛の糸で
暗闇の中にある甘い希望
光に満たされた絶望よりは良い
優しい色をされては切なくなるだけ
春は悲しい思い出を作り出す季節
今宵の夜も人知れず桜の花が散る
君の灯火は二度と点くことはない
その種は咲く事ないままに散った
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