*聖女レィビー様のエメラルド*/知風
んまり色が良くなかったので
とうに捨ててしまったわ
するとママは寂しそうに
小さな声でこう言った
おまえだって三日前までなら
とっても素敵な色って言っただろうよ
マァギィ・マァリーはくずかごの
底に横たわる薔薇を見つめた
その花の色はやっぱり
少しくすんで綺麗じゃない
それでもやっぱり花たちは
窓辺に飾って欲しいと思うのかしら
答えの出ないままマァギィ・マァリーは
少しの間 もはや若くない我が身を想った
そして
ほおずき亭から少し離れた
小さな噴水のそば
そこに腰掛けた痩せた老人
聖乞食ボゥビーの隣の
やっぱり飼い主みたいに痩せてて
けれど優しい目をした老犬
おいぼれジョーイの首輪の喉に
光るひとつぶの碧の涙
それは哀しく愚かで愛しいあの子
うそつきレィビーのエメラルド
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