風の歌が聞こえない/渡邊永遠
聴こうとする
シャボン玉のように
自由に、ただ自由に
あちらへ、プカリ
こちらへ、プカリ
と、浮かんだ後に
木の枝につかまって
パチンと弾けたり
猫に追い掛けられた上に
その鋭い爪先で、バチンと割れることさえ考える
そうやって、いつの間にか
風から身を守る術ばかりを考えて白い心は
目をつむる度に蓄積された
影ばかりに覆われていく
この、日増しに重たくなっていく心を抱いて
大人と呼ばれる私は、
どこへと向かっていくだろう
私は、知りたい。
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