スプラウト/朽木 裕
 
りんご飴、ねぇ買って

と君は舌っ足らずに僕の袖をひいた


正月でもなければ夏祭りもない三月の夜空

りんご飴なんて何処で手に入るの

問うと君は平然として



じゃあ花火しよっか



後ろからではなく前から僕の手を引っ張ってどんどん歩く



冬に花火がしたいって そういえばいつも云ってた


僕の車には去年の夏に買った、
冬にするつもりの花火が沢山のせてある



うん、花火、しよっか



まばたきでシャッターをきれたなら
僕は君の写真に埋もれて死ねるだろう きっと

白いかんばせ 長めの栗色ストレート
大きくて
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