肉一片/朽木 裕
 
自分が肉の一片に成ってしまう夢など
誰が望んでみるものですか


(けれど毎夜、私はふつりふつりと千切れていく)


私以外の誰かが望んでいるとしか思えませんね

この体たらく この有り様

笑ってしまいたいけれど 笑う口がありません

私は一体 何なのだろう

浅ましい肉塊のどの部分なのだろう

確認しようとするけれど

眼球が見つかりません

眼球がないから眼球が見つかりません

嗚呼!

口汚く罵りたいけれど

矢張り 口も歯も舌もなくて

途方にくれる肉一片

若しくは私

だったもの。
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