美神/T’s
 
盲目なる私に見せる
幻楼の回廊の奥底で 汝を己が為だけにしえるのならば
言葉を失う事すら恐れない

その姿は裸身となっても けして情欲は覚えず
その姿は年老いても   けして罅割れる事無く
その薄布の様な肌に触れれば  えも言われぬ感触に溺れる

艶やかな唇へ指を添えれば 心を溶かす吐息が漏れ
淫猥で甘美で退廃で絶世の世界が 盲目なる私に見せる
幻夢の奥底より生まれし 暗黒に溺れる事が出来れば
背徳という罪を犯す事も厭わない

しなやかな指を空に走らせれば 蝶でさえその指に恋をする
純白で瑞々しい肌を露にすれば 雲さえ虚空を流れるを忘れ
華麗なる美声で紡がれる言葉は 鳥でさえ歌う事に羞恥する

美神よ
汝を我が腕に引き寄せ情欲を満たし
その髄まで味わうことが叶うならば……
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