気功師になれるかもしれない/千月 話子
なる手の平
目を閉じて 見えない奇妙な弾力を
思う存分 楽しむのです
さぁ もう離してあげますよ
溢れる熱を外界に放ち
渦巻くように上空を飛ぶ水鳥の
群れを私の手の平は
少しずつ水辺へ戻して行くのです
さぁ もう許してあげますよ
「治療」
私が立派な気功師に
なれるかもしれない明日には
あなたの頑なな胸に風穴を開けて
背中に回したこの手の平で
弾力のある背筋を掴んでは
熱い私であなたを満たそう
あなたは 私の乳房を掴んで
その痛みに耐えればいい
微笑みながら
絶えればいい
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