おめでとうの仕方/吉田ぐんじょう
 
二十三年間生きてきたのに
おめでとうのひとつも
満足に言えない
そのことについて
頬杖をついて考える
一人で
室内で吐く息は白い
ストーブは足元ばかりを熱くする

家族宛てに届いた年賀状は
なんだか生まれたての鳩に似ている
わたし宛に届いた不採用通知は
死んだ蛇に少し似ている

午後三時
中途半端な切れ端をごみ箱に沈めて
わたしは新しい履歴書を買いに出る
歩きながら
御免ねと思う
何に対してでもなく
又は何もかもに対して

最寄のコンビ二へ入って直ぐ
高校時代にここで
アルバイトをしていたことを思い出す

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