産婦人科病棟/チアーヌ
 
入院病棟の生暖かい清潔な
空気を吸いこみ眠る
窓の外に見える
看護師寮では
真夜中にドアが何度も開閉する
夢を見るほど深くは
眠れない午前三時
静かに誰かが走り
病室の前を駈け抜ける
誰なのかはわからないけど
きっと遠くへ行くのだろう

七ヶ月だというのに
大きなお腹を抱えた妊婦は
「双子なの」とうれしそうに
笑った
その三日後
早過ぎるお産で
1000グラムに満たない
小さい男の子がふたり
この世にやって来て
すぐに帰って行った
また来るよと

5ヶ月になったときから
8歳の上の子を置いて
入院しているという妊婦は
ずっと点滴を外す事ができな
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