昼の月/あおば
春の朝も
冬の夜も
代わり番この
月がでる
びしょびしょに縛られて
かちんかちんに凍り付いた
寒い夜
堅い手足を
揉み解す時
回転体の約束を反故にした空の誓い
生まれ初めの空虚な空色が
生まれ初めの空色の電車を走らせる
空の堅さをあざ笑う少年の目の虚光
落ちて形骸化された天体の屈辱
ブルートの瞋恚の炎を内蔵する
円形の館に反逆者を幽閉し
外耳道蓋然性の感官に囲繞する
伽藍の静けさ観世音菩薩の嚔
氾濫する外観
囲繞する観念
見たことのないコビト達の行列
春も昼も
月のない空に
統合された意識と無意識のカタチは
白い稲妻の束の間の微笑みに似た
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