非線形光学特性の研究/オズ
 
毎朝決まって川沿いの遊歩道を散歩している
古びた 老人ロボットと
ほとんど毎日すれ違っている女子高生ロボットの側で

ガンジールックな哲学者が行ったり来たりしながら
何やら彼にとっては
非常に重大な問題について考えている光景を
プックリと肥えた野良猫を枕にして寝そべっている
リストラ寸前のサラリーマンが
土手の上からぼんやりと眺めている
モヤ がかった オレンジ色の朝に

うぐいすと牛が同時に鳴いた
歴史的瞬間の1秒後に飛び立った
あのピンクのカラスの後姿を
私は 研究室のイスの上で
静かに思い出しているのである

真っ暗な実験室で36時間、1人きり。


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