鳩さぶれ。/もも うさぎ
 
あの寒い朝にベッドで
 君と交わした約束だって 僕は本気で守ろうとしていたんだ

 一度つないだ手を 離すつもりなんかなかった
 僕の中で核となっていたんだ
 それはうそじゃない
 嘘じゃないのに・・・・・
 なんと言ったらいいか分からない

 ・・・・・・

 
 ・・・鳩サブレーを食べるのをやめてくれ!!!」


彼は少し叫んで、嗚咽をもらした。

電話の向こう側の気配も
その空気も温度も
私には手にとるように分かるのだ。
二年間とは、そういう時間で
それこそ言葉でどうにかなることなんかなくて
そんなのナンセンスで




ナンセンスで


 

ばり、と私は鳩の頭の部分を食した。

サブレーのかけらがつんと刺激する鼻の奥に気づかれないように
ひたすら食べた。


ダイヤモンドのかけらみたいに

甘い夢さらバリバリ食べて、喉がひどく痛かった。









〜鳩さぶれ。〜



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