shining/松本 卓也
灰色の隙間から注ぐ
陽射しに手を翳すたびに
目を細め見やるだけ
温もりだけが降りてくる
北風が強く吹いているから
漏れ落ちた微かな光でさえも
永く待ち焦がれた春のようで
それは小さな勘違い
存在は救いの象徴だけれど
何かを得た訳ではないのに
針葉の街路樹が纏う
太陽の落とし子が肩に触れ
少しだけ癒されたのを知り
感謝を告げつつも
君の微笑を願っている
説明のしようが無い
心に戸惑っていたりして
何だか励まされているような
視線を一瞬でも感じれれば
自分に意味を与えてあげられる
陽射しを含む言葉が
心覆う氷の幕を溶かしては
意味も無く笑っていたくなる
寂しさを満たすピースじゃない
気がつけば不可欠なパーツとなって
穿たれていた空虚にすっぽりと
優しさを照らしてくれている
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