幻視の花びら(十九)/信天翁
 
      一夜あけたがなにもかわってはいない
     太陽は去年とおなじ顔で澄ましているし
   北風は相変わらずの怒声で荒れまくっている
そして リビングの装飾もレイアウトも沈んだまま
      一夜あけたがなにもかわってはいない
          ただ新しいカレンダーだけが
    ことしもよろしくと顔をおらに向けている
 いまや 体の退化と心の硬化とのねじれるなかで
    あゝ 幻視の花びらをゆめみるおいぼれも        
     その在りようはなにもかわってはいない          
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