非ジャクリーンの唾/黒川排除 (oldsoup)
 
オルゴール火口そばに音ごと流れんとす

ねむりに沢 よこたえて仮に香る肉体

石室の闇に消えゆく滑降痕

月に目を奪われ充血している月

飛ぶなどしてつまさきをこころにのせる

凧ひらりひらり模型の街だった

杖で強くつぐむ真実一切は無だ

(ここから2007年)

湯気はびこる道延々と続く

静かな日曜黒ばかり映す集会所のプロジェクター

時間擦れて光彩放つかつての地表

野原枯れて枯れた昼たまりやすくなる

かろうじて始原の地に立つ塩の針

書架の背ひらく血は花びらに例えておく

透かし見る蝋で封緘された苔

神主の脳裏と鎖状に繋がり詣づ

蝶も火の粉もわらわを残して逃げていく

膝の圧迫額縁抜けのけぞる上半身

血吸いヒルの本景色の真ん中におく

きのいのちをふたたび受けるためののぎへん

ふと集う三千種の記号の大河
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