三歩あるいたら、全て忘れたい/狩心
 

行ったり来たり、同じ道を鬱病のように彷徨って
どこも高速道路ばかり
町の風景は、窓から覗くばかり
隔離政策、一人の人間には一つの部屋を
窓に美しいカーテンを取り付けたところで、何も遮ってはくれない
視力0.01以下の男は、眼鏡を外す事で、外界を遮断する
滲んだ水彩画のような世界が、一つ一つの境界線をなくしてくれる
水っぽくて、紙が破れちゃう、あー、破れちゃう、金魚すくい
――― ぼやけちゃって、視力の低下が現代病でしょうか?
――― レンズ越しに世界を見る子供はこれからも増え続けますよね?
外を歩いても、見えてくるのは心ばかり
そして、心ばかり見つめる奴らと、表面ばかり
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