夜明け/蒼依
 

六本木の夜を友達とはしゃいで
知らない人の人ごみの中で
音楽になんとなく体を乗せる

たまたま出会った男の人と
少し話してお酒をもらう

あたしはいつもピーチフィズ

名前と嘘のメールアドレス教えたら
彼はひらりと飛び立って
人の間に埋もれていった

あたしはいつもその後姿を
横目でちらりと見送って
またお酒を味わう

そんなことを何度も繰り返して
疲れたら友達とふたり
座っておしゃべり

大好きな曲が流れたときだけ
フロアでヒールを鳴らすの

今日はモテたねーなんて
笑いながらそこを出て
白くなった空を歩く

人もまばらになった電車に乗って
お酒の余韻と睡魔と一緒に
家までの道を歩く

新しい空気がおいしい
嫌なことを忘れて現実を好きになる一瞬



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