不発弾/橙午
 
大切な事を言えなかった時の、あの空しさといったら。

 

「人ごみ」なんてもんじゃないんだ強いて
言うならニンゲンの中で燻ってる欲望とかそういった
もの達が実体化、具象化したのが群れ
でなく散りぢりになって勿論意思もあったりして
たくさん、そう沢山の曖昧が
通りを疎らに埋めていた



足早に、でないと間に合わない


時折視界に入るツウショットは甘ったるい夢
を共有しながらふらふら、不完全
な愛情を纏って流れて行く現実
それは落とし穴、入って
みれば分かる・・・



大事な事を言いそびれたあの、焦燥といったら。


居ないと分かっている
が目が勝手に探そうとする衣類
の中皮膚の下に於いて何か
が蠢きだす嗚呼、そうか
これが弱さだ



早すぎた、だから構わない



でも
時を逸して君の後姿を見送る
あのかなしさといったら
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