幸せ行きの切符/クラウン
 
きちんと
切符を買って
改札に通したのに
ブザーが鳴った

若い駅員さんが
とんできた

ああ、この切符では
電車には乗れませんね

そう呟いたかと思うと
私に有無を言わせる間もなく
私の腕をつかみ
一緒に線路に下りた

え?!私死ぬんですか?

そう聞く私を
なおも無視し

あなたは
線路を
走っていかなければなりません

そう告げて
どこかに行ってしまった

言われるがまま
走って行く私を
邪魔するものは
何もなかった

電車でさえも
私に近づくと
スピードを緩め
止まる

不思議に思っていると
踏切から
いなくなっていた
駅員さんがやってきた

ちゃんと来れたみたいで
よかったよ

そう言いながら
私の切符を
破って
空に撒いた

これは
幸せに続く線路を
走っていくための
許可証なんだから…

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